2009年12月31日木曜日

2009年12月31日号




年も終わりが近づいてきた。 
今年見た今年の映画及びアニメ、漫画などまとめてみようかと思う。 


実写映画は、職業的に大量に観るため、
個人ではあまり見ていない状態が例年続いている。

その中で、今年一番の秀作は『グラン・トリノ』 
出色だったのは『アバター』 


グラン・トリノは、 個人的に00年代ベスト1の映画。
 2009年はこれを超える作品は無かった、と言って過言ではない。
近年、ハリウッドの良作・佳作は多いがここまでとんでもない大傑作となると、数は限られる。00年代は『ミスティック・リバー』や『ミリオンダラー・ベイビー』、硫黄島二部作など、とにかくクリント・イーストウッド監督の時代と言っていいほど、数々の傑作がつくられたが、その中でも特にオススメしたい映画。紛う事なき名作で、『許されざる者』と並ぶ最高傑作の一つ。 これを観ずに今年の映画を語るべきではない。真剣に。本当に、この作品について多くを語る言葉を自分が持ち合わせていないということが実に歯がゆい。
まさに圧巻の出来で、現代アメリカ映画として最も優れていると言っていい。監督・主演のイーストウッドの、円熟のさらに上を行く高度な演出、そして堂々たる演技。生と死、戦争、人種差別、世代間の対立と融和、理解と不理解、それら全てをテーマとして内包しながら、重苦しくないという途方もない完成度。 


しかも結構笑える。


鑑賞後は、実に不思議なくらい清々しい気持ちになる映画だった。 
クリント・イーストウッドは御年79歳。来年2月には『インビクタス/負けざる者たち』が控えている。ここまで精力的な映画監督は、他にいないんじゃないだろうか。



アバター 予想外に面白かった。
本当にいい意味で裏切られた感じ。ジェームズ・キャメロンの職人的な、と言うよりほとんど偏執狂じみたコダワリが画面から滲み出してくる。3Dで。ハリウッド最高レベルのVFXと、キャメロンの編集の巧みさが組み合わさって、161分という長尺にも関わらず、映画をとても見やすく入り込みやすいものにしている。ストーリーは、ネイティブ・アメリカンと開拓者の戦いを思わせる、異星人ナヴィ族と開拓団・海兵隊の戦争を軸に、その間で葛藤する主人公という構図。秀逸だと思ったのは〈アバター〉を使いナヴィ族に入り込む元海兵隊の主人公が、下半身不随の傷痍軍人だという設定。これによって主人公の動機が非常にはっきりとわかりやすくなっている。足に不自由がない「偽りの自分」と、足に不自由がある「本当の自分」の間で揺れ動くアイデンティティ。ちょっと『攻殻機動隊』を思い出したが。そういえば、人間がマスクをしなければ入れない森(星)は「腐海」で、その自然と共生するナヴィの村は「風の谷」、侵略してくる海兵隊は「トルメキア軍」か。となると、主人公は「青き衣の人」か。青い肌だけど。とにかく『アバター』は『風の谷のナウシカ』原作版に非常に良く似ているところがある。
メインの見どころは海兵隊戦闘ヘリ軍団と飛行獣に乗ったナヴィ族の空中戦だが、個人的には〈リプリー〉ことシガニー・ウィーバーの登場と〈エイリアン〉なチェイスシーンがポイント高い。面白かったし、劇場で見て良かったと思える作品。



今年見た今年の劇場アニメの中では、 
一番の秀作は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』 
出色だったのは『サマーウォーズ』
佳作は『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』 


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 、計5回観に行った。
とにかく、万人にオススメできる映画になったという点が「破」の素晴らしいところだ。〈エヴァ〉は今まで、面白いと思っていても、どこか引け目のようなものすら感じていて、万人にオススメ〈したい〉と思う作品ではなかったし、オタク同士で語り合うという枠組みを出ていなかった、と個人的には思っている。それはTVシリーズも旧劇場版も「新劇場版:序」ですらもそうだった。が、「破」は万人にオススメ〈したい〉作品だと胸をはって言える映画だ。


サマーウォーズは〈良くできたアニメ〉を地で行く手堅い印象。細田守監督作品は外さないなぁと改めて思う。個人的に『時をかける少女』の傑出ぶりには今一歩及んでいない感じはする。しかしエンターテイメントに溢れ、現代的な主題にレガシーな家族という解をぶつける心意気が評価できる。何よりヒロインと家長のお祖母ちゃんが良い。メインスタッフの地力が出ている素晴らしい作品。


交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱいは非常にチャレンジャーな映画。TVシリーズ4クール50話のアニメを使って二時間の劇場版をつくる、という無謀な企画を離れ業の再構成で作り上げている。キャラクターはかなり弄っているし、ストーリーの流れが急激で分かりづらい部分もあり、新規作画で安定していないカットも散見され、画質がばらけていたり、全体として好き嫌いの分かれる作品だとは思うが、こういう挑戦は評価したい。




今年見た今年のTVアニメの中では、 
一番の秀作は『化物語 
出色だったのは『君に届け』
佳作は『けいおん!』 
番外は『涼宮ハルヒの憂鬱』
ほか、いろいろレコーダで録ってはいるが見ていない作品がかなり多い


化物語 、斬新で、画がとにかく綺麗な作品。話の作り自体は…キャラもいいし、言葉遊びは面白いが、然程といった印象。新作アニメがほぼHDで作られるようになって、美術はそのディテールがどんどん追求されるようになり、ほとんど劇場版かと思えるような美麗なカットがTVアニメで多々見られる訳だが、この作品では敢えてディテールを切り捨て、練りこまれたパターンが延々と続くような背景、まるで舞台美術のような、書割っぽい美術が特徴的。1話を見た時、ちょっと『少女革命ウテナ』を思い出した。虚構を否応なしに意識させる〈ボールド〉テロップカットと通常の作画カットでリズムを刻む編集手法は、見ていて心地よい。


君に届け 、ストーリーラインは実に他愛のない話だが、キャラクターの心情描写をひたすら掘り下げている点が評価出来る。原作も、惹かれ合っている筈の二人の意識の差が、すれ違いや亀裂を生んでいくという非常に少女漫画らしい少女漫画で、ぐいぐい引き込まれる魅力がある作品だ。今期では一番ハマっているかも。

けいおん!は、今年の春季スタートアニメの中では大ブレイクし、このほど第2期製作発表されたが、まあどうってことの無いアニメで、普通の出来。日常的な描写に力が入っているのは良かったが、ドラマとしての盛り上げ方が足りない感じがした。佳作だとは思うが、これがそこまで人気になる理由がわからないと言うか……。


番外(にせざるを得ない)のが『涼宮ハルヒの憂鬱』。エンドレスエイトは確かに2009年のアニメに起こった一大事件だった。いつ終わるのかしれないループをリアルタイムで味わっていた一視聴者としては、一話分に編集し直したくなったが、まぁ、自分は脱出回のハルヒの表情が良かったので、概ね許してしまえる気分になったのだが。


2009年は劇場アニメが豊作の年で、TVアニメはあまりパッとしない感じだった。



今年読んだ今年の漫画の中では、 
一番の秀作は、こうの史代『この世界の片隅に』 
前年に引き続き期待のかかる、新井英樹『キーチVS 
以下、今後に期待を込めて
椎名軽穂『君に届け』、桜井のりお『みつどもえ』、片岡人生/近藤一馬『デッドマン・ワンダーランド』、花沢健吾『アイアムアヒーロー』、篠房六郎『百舌谷さん逆上する』、植芝理一『謎の彼女X』、山田秀樹『魔乳秘剣帖』を挙げておこう。



それでは皆様 どうぞよいお年をお迎え下さい。来年もよろしくお願い申し上げます。

2009年12月30日水曜日

2009年12月30日号



あまりに忙しくて全然書けなかったが、年末進行も一段落。今年は静かな年越しを迎えられそうだ。


で、仕事で溜まったストレスを物欲で発散するという非常によろしくない散財が続いたので、ここに自戒も込めて記録しておく。


・年末散財録 其の壱


やっぱり買ってしまったARTISAN&ARTIST WCAM-3000N


業界では言わずとしれた有名ブランド。ショルダータイプの中型カメラバッグ新製品。機能性高いが値段も張る。最大の特徴は、防水性に優れたターポリン素材。上部フラップのない構造ながら、止水仕様のファスナーを使い、水の侵入を防ぐ。インナーケースの収納力は、標準レンズ付きデジタル一眼レフ&交換レンズ&周辺機器といったところ。写真では大ぶりに見えるが、実際は幅350×高さ130×奥行230mmと結構コンパクト。かなり大きくプリントされたブランドロゴは好みの分かれるところだが、ラインナップの三色の中ではグレーは目立たない方かも。使い心地は……と言って、まだフィールドで使っていないのでなんとも言えないが、なかなか良さそうではある。




・年末散財録 其の弐



B&Hに発注して昨日届いたGITZO GT-1541T Traveler
そして本日届いた梅本製作所 高精度自由雲台SL-50ZSC

とにかく軽くて頑丈な三脚が欲しかったので、GITZO1シリーズ、カーボン製のトラベラー4段脚を購入。縮長41cm、自重1kgちょっとという軽量コンパクトながら、最大高134cmで剛性も高いという優れもの。
梅本製作所の高精度自由雲台は巷で評判の雲台。これも軽量360g。カメラの重量的に中程度のサイズを選んだが、三脚と組むと見た目はちょっとアンバランス。だが使い心地は良好。クイックシュータイプにしようかとも思ったのだが、予算の都合で普通のスクリュータイプにした。この二つの組み合わせで1.5kgを切る。本格的なムービー撮影には向かないが、通常のスチル撮影であれば十分。これで旅行などでの機動力が高まるというもの。流石に3.5kg超える三脚はワンマンオペレーションには辛い重量という気がする。自分がただ虚弱なだけかもしれないが。




・年末散財録 其の参




上と同じくB&Hに発注したZACUTO Z-Finder

デジタル一眼レフにおけるライブビュー、特に動画撮影時に液晶モニタをビデオカメラにおけるビューファーにする着脱自在なルーペ。これを使うことで液晶が拡大表示され、フォーカスの操作性は格段に向上する。撮影時の構えが本来のスチル撮影時と同様、顔と両手の三点で支えられるようになるため手持ちの安定性が増す。もちろん三脚撮影時の視認性向上にも役立つ。取付は最初にプラスチックのアタッチメントをカメラ本体に接着し、着脱可能なファインダーブロックを装着する仕組み。つくりはアメリカンな適当さがあるが、実用性はかなり高い。



・年末散財録 其の四




今回一番楽しみにしていたメインの買い物が、なんと初期不良
ISUSMかどちらか判然としないがAF作動後にモーター音が止まらない……流石に仕様ではないだろうと思うのだが。通常はシャッターから指を離すややあって止まり、ライブビューだとホントに止まらなくなる。なんだコレ?明日あたりサポートに問い合わせよう。引取り修理かな…。国際保証付だから大丈夫だと思うが、年始に使うのは無理だろうなあ…。




で、今週(&先週先々週)の話題。
EPIC&SCARLET、やっと全体像が見えてきたなぁ…。相変わらず「仕様は随時変更するよ!」情報なのでアテにならないけど。

デジカメWatchの記事。7Dで撮影されている。この画はなかなか…。最後の方の駅のナイトシーン、地明かりでやってんのか。凄い感度性能引き出してるなあ。

これも7D。コマフォトまだ買ってない。やっぱりオーバークランクは一回試してみるべきだな…。


本日と明日、EOS MOVIE関連の番組がやるようだ。



さて、大晦日は今年の諸々をふりかえってみるか…。

2009年12月13日日曜日

2009年12月12日号



今月は年末進行につき超多忙。
この1週間、会社に泊り込み作業。今日帰ってきて、明日からまた1週間泊り込みが始まる。着の身着のまま風呂なし7日間は辛かったなぁ。新陳代謝の限界へ挑戦だな。


というワケで、縮小更新。


・Canon EOS 7D の値下がりが著しい。
Amazonで今週、EF-S15-85mm IS U レンズキットが一時、¥179,800を記録(12/13現在¥198,000)。ヨドバシで発売日に¥268,000(10%還元)で買った私。立場がないな。この価格は非常にお得。迷ったら買い。あ、AmazonはEF70-200mm F4L IS 在庫切れか?納期が伸びてるな。33%OFFで価格.comの最安値を更新してたし。やっぱB&Hで三脚とまとめ買いするか…。





2009年12月6日日曜日

2009年12月5日号

今週の話題。

円高である。現在1ドル90円台。
ここまで来るとカメラ用品、特に外国メーカー品などは海外通販で買った方が安い。ちょうど8月にGITZOの三脚を買った海外通販サイトB&Hからウインターセールのカタログが届いた。



B&Hで購入したGITZO GT-3531LSV & Manfrotto 501HDV



B&Hはニューヨークに本店を持つ業務用量販店の機材通販サイトで、なかなか使いやすい。発送早く確実に届くし、梱包も丁寧。日本の最安価格より安いかどうかはモノにもよるが、キヤノンのレンズなど国際保証がきくものは非常にお買得だ。

円高ですね向かい風でも軽やかに

ビデオ&映画屋のカメラマン向けにオススメなのは、Sachtlerの三脚が日本よりかなり安く売っていること。Vintenなどはあまり変わらないが、Sachtlerの値段は全然違う。むしろこれが適正価格なんだろうか。保証は、どうか分からんが。

レンズも欲しい…が、狙ってるCanon EF70-200mm F4L ISは日本とさほど変わらないし…、再びGITZOの軽量三脚でも狙ってみるか!
前回買った3型のシステマティック三脚も軽くてイイのだが、ビデオカメラ用雲台である501HDVと合わせると3kg超えるので、ちょっとした外出で持ち歩くには結構重い。旅行することも考えれば、ここは最軽量の1型、GT-1541T Travelerだろう。梅本製作所の高精度自由雲台と合わせてみたい。

ツァイスが海外でEOS用のMacro-Planar 50mm F2 ZEとMacro-Planar 100mm F2 ZEを発表デジカメinfo

Carl ZeissのEFマウント単焦点MFレンズシリーズはこれでほぼ出揃った感じだ。あと残ってるのは25mmぐらいか?どこから揃えていくかが悩みどころだが…。

アルティザン&アーティスト、カラフルな防水カメラバッグ2種類デジカメWatch

これは、大きい方のWCAM-3000Nを買っちゃうなぁ、多分。
今カメラバッグはKATA DR-465-WTを使ってるが、ARTISAN&ARTISTのバッグは前から欲しいと思ってたので。デザインは小さい方が好みだけど、このサイズだと7Dはパンケーキレンズじゃないと入らないな…。

思いどおりの日本語入力 - Google 日本語入力Google Japan Blog

Google先生の中の人がつくったIM。これは、なかなか…。まさかここまでGoogleが攻めてくるとは。Chrome OSの流れからすれば当然作らなきゃいけないものなんだけども。もうGoogleにできないことはないんじゃ…。ソフトメーカーは戦々恐々だよなぁ。ATOK、ヤバイんじゃないの?既存ユーザーが離れることはないと思うけど、新規ユーザーはこっちに流れるんじゃないかなあ。語彙に関してはまず他の追随を許さない。しかも辞書が自動的にWebから語彙をかき集めて増えていくというコンセプト。素晴らしい。ちょっと使ってみたけど結構使いやすいな。

2009年11月29日日曜日

2009年11月28日号




今週の話題。


とはいえ、いつにもましてネタがないので、
今朝、仕事がらみで出かけた場所の写真を。


今朝は比較的暖かかったんだろうが、風が冷たかった。
海沿いは風が強いからなぁ。外で撮るのに厳しい季節。


夜、ヨドバシAkibaで
を買ってきた。








タイマーリモートコントローラーは、ケーブルレリーズの一種で、インターバル撮影のための道具。所謂タイムラプス動画を作るために必要なもの。他メーカーのデジタル一眼レフやコンデジでは本体機能としてついているらしいが、EOSではオプション扱いで、純正でタイマー付きはこれのみ。








スピードライトは、純正のストロボとしては現行品で一番小さく、ガイドナンバーも低いが、一番安い。それでいて、90度バウンス機能を持ち、ストロボとしての使い勝手はかなりの優れもの。仕事でもない限り個人的な用途ではこれで十分。軽いのでバッグに常備できるし。


NDフィルターは7Dの動画で、日中に絞りを開ける際の減光に使う。
動画撮影で露出を決める場合、カットごとのコンティニュイティ(連続性)が保たれなければならず、特にシャッター速度は動きの見え方が変わるため、原則として固定する。しかし、被写界深度を浅く撮影したい時は絞りを開けるので、日中晴天の場合だとISO感度を限界まで下げても、適正露出にならない。そこで減光しなければならないわけだが、ムービーカメラには普通備わっているNDフィルターは、一眼レフではレンズフィルターとして付けなければならない。交換レンズごとにそのフィルター径に合ったものを使わなければならないわけだ。今回は7Dのキット標準レンズ EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS用に72mmのND4と8を購入。


Canon EF70-200mm F4L IS 欲しいなぁ……
EF100mm F2.8Lマクロ IS も欲しいけど、やっぱ先に望遠ズームだ。近頃散財しっぱなしだが、交換レンズはあって困ることはないからな。中古だって、デジタル一眼本体は機能がどんどん上がるから二束三文だけど、レンズはやっぱそれなりにするもんだし。今、7Dの虎の巻を手当たり次第に買ってるが、そこでも推薦されてる交換レンズはやっぱこの2本が多いな。



2009年11月22日日曜日

2009年11月21日号


InterBee 2009

JEITAが毎年一回開催する日本最大規模の放送・ビデオ関連技術の展示会、InterBee 2009に行ってきた。
大手メーカー各社、3D対応やらファイルベース収録やらといろいろやっていたが、今回久々に行ってみて、改めて自分の興味の対象がデジタル一眼動画の方向にシフトしていることを実感する。



Inter BEEでエプソンが236万ドットのEVF用液晶パネルを参考出品~デジタルカメラに映画用レンズを取り付ける提案もデジカメWatch


個人的に今回の最注目ポイントは
ナックが展示していたCarl Zeiss Compact PrimeEOS 5D markⅠIに装着するアダプター。
現状、PLマウント汎用でなく、レンズに改造を施す形だが、全長・フィルター径とも統一された単焦点シネレンズが使えるようになった意義は大きい。今まで、本編の現場の人たちはいろいろと工夫していたのかもしれないが、5Dなどに付けるEFレンズほかスチル用のレンズは、基本的に焦点距離によってレンズの全長・フィルター径が違うため、マットボックスやフォローフォーカス、フィルターなどを使うスタイルで撮影している映画屋さんには使い勝手が悪かったのだろう。
元々、Compact Primeはスチル用のMFレンズの光学設計を使って、イメージサークルはフルサイズのまま全長とフィルター径を統一し、PLマウントで新設計された廉価なシネレンズシリーズだ。本来はRED向けの単焦点レンズなのだろうが、ここに来て大手の機材屋が5D向けに改造モデルを出してきたということは、この1年のうちに5Dは映画の現場にかなり広がっているということだ。参考出品として、Panasonic DMC-GH1にPLマウントレンズを付けたものも紹介され、また別の会社からも、EOS 7DにPLマウントレンズを装着するアダプターが発表されており、デジタル一眼動画は著しい成長を見せ始めている分野と言える。

で、肝心のメーカーであるCanonは新製品EOS 1D markⅤIの実機を展示。
ちょっといじってみた限りでは、AFに関してはまだまだというところ。顔認識はちゃんと動作していたが、AFの反応は鈍いように感じた。改良の余地がある。
これは邪推だが、EOSムービーのCanon内部での立ち位置は、結構微妙なところではないだろうか。マーケットとして非常に競合してる分野で、一番あおりを受けてるのはXL H1などを出してきたCanonの業務用デジタルビデオカメラ部門だろう。あくまでスチルカメラという領域を出ないと言うEOSも、InterBeeに他の民生ビデオカメラ同じように展示されていれば、注目度は偏ってくる。ここまで成長してしまうと、ついでに付けた機能では済まなくなっていると思うが、その辺の折り合いはつくのだろうか。

この他は、はっきり言ってあまり注目していなかったので、トピックを適当に羅列する。

・AutodeskがSmoke 2010のMac版を出すらしい。
システム製品としては初のMacintoshプラットフォーム対応。個人で導入する価格ではないが、Macベースの編集スタジオには朗報ではないだろうか。

RED EPICは今回実機なし。
この秋にはお目見えするであろうと言われていたが、いつもの通り遅れて、12月18日のREDユーザーイベントで何らかの発表が見込まれている。

・SonyはこのタイミングでAVCHDフォーマットの業務機、NXCAMを発表。
デジタル一眼動画に関して、技術的には恐らく相当なアドバンテージがあるはずのSonyは、かなり二の足を踏んでいると思う。不況で製作費はどんどんカットされ、同社のCM・映画撮影用ハイエンドカメラシリーズ = CineAltaのフラグシップ、F35F23が売れてない状況で、その価格の安さでCM・映画撮影の現場からハイエンドHDカメラを駆逐しているデジタル一眼動画に、まさか本気になるわけにもいかないだろう。といって、今更ファイルベースメモリーカメラを出すのは、はっきり言って遅すぎると思うが。かなり前からP2HD統一で全面展開しているPanasonicに対して、ソニーはとにかく規格がバラバラで互換性がないという印象が強い。別にカメラの作り自体には悪くないのだが…、Sony好きとしては悩ましいところ。

全体として、業界の空元気というか、不況を感じさせる今回のInterBeeであった。


YouTube HD 1080p 対応

もはやYouTube画質とは呼べない。あらゆるビデオ配信サイトを凌駕する高画質と、スムーズな再生能力。これは、素晴らしい進化だ。ついつい新しくエンコードしてしまったよ。

2009年11月14日土曜日

2009年11月14日号



写真はGR DIGITAL II


今週の話題。

リコーがまた途轍もなく尖ったカメラを出してきた。
その名もRICOH GXR


ホントに見たまんま。レンズを含む撮像ユニット交換式のコンパクトカメラ。
個人的にリコーが好きなところは、こういう、悪く言えばキワモノ、良く言えばエッジの効いたカメラを、マジに企画し開発し商品化するところである。他のメーカーではまず出来ないことをやってのける。そこが魅力。
昨今、低価格入門機の隆盛著しいデジタル一眼レフ市場に対して、GR DIGITALという高級コンパクト機で対抗し、最近夙に成長を見せるマイクロフォーサーズ規格に、この対抗策。レンズだけではなく、撮像素子、画像処理エンジンまでもパッケージし、コンパクト機で難しいダストリダクションの問題を解決。撮像素子のサイズに合わせたレンズ構成でマクロ、ズーム、望遠、広角までカバーできる多用途プラットフォーム。これは確かに、デジタル一眼レフをある意味で凌駕できるカメラである。デジタル一眼レフはレンズマウントという宿命と、ボディに固定された撮像素子よって、その表現の自由度とかかるコストは、決して安い物ではない。そこに活路を見出し、レンズを「交換できる」高級コンパクトという武器を巧みに滑り込ませるリコーのコンセプトは、考えてみれば至極真っ当な物だろう。
後は肝心の性能で、定評あるリコー独自のレンズや操作インターフェイスは良いとしても、AFなど触らなければ分からないフィーリングなどで、どう評価されるか。この「大型撮像素子を有するコンパクトデジタルカメラ」のジャンルで先鞭をつけたシグマDP1は、描写は非常に優れたものだったが、AFやソフトウェアのフィーリングで人気は今ひとつ。先頃、このジャンルに進出してきたライカX1はネームバリューと堅い性能には惹かれるが、その高級すぎる対価と相まって、あまり期待感を抱けない。

これは、買うかも。ただし、ちょっと待ちだが。

この尖ったコンセプトが、どういう展開を見せるか。来春には出るという高倍率ズームや、35mmフルサイズが出てきてからでも遅くはない。実際、GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO ユニットはかなり楽しみな画質を出しているし、ボディは当分変わらないようなので、じっくり見極めるのもありだと思う。




今週頭に見て、かなり衝撃を受けた。これほどの才能があることに、これが現役の学生の自主制作であることに、日本のアニメの未来が明るいであろうことに。
縦横無尽に躍動するキャラクターアクションと、それを見せる構図、演出が考え抜かれており、それがCGと違和感なく融合している。尺もよく纏まっていて、筋立て、展開、オチ。じつにシンプルで明快なもの。非常に素晴らしい出来で、とにかく立派なアニメ。ホントに優れた良い作品なので、褒めちぎるだけ褒めちぎるよ。


2009年11月7日土曜日

2009年11月7日号

今週の話題。

最近Carl ZeissからEFマウント用MFレンズが続々と発表されている。
先月発売のDistagon T* 2.8/21 ZEを始め、
Distagon T* 2/35 ZEDistagon T* 2/28 ZEDistagon T* 3.5/18 ZEと一気に発表されている。
コシナとの協業以降、今までニコンFマウント用やペンタックスKマウント用が先行してリリースされ、キヤノンEFマウントは置いてけぼり食らっていた訳だが、今年頭ぐらいから、どんどん充実してきている。
Carl Zeissは本家サイトを見るとわかるように、一眼レフ用MFレンズをCinematography、映画撮影用としても展開しており、デジタル一眼動画の端緒である5D markIIの登場以降、キヤノンEFマウントに対するラインナップの拡充には(それだけが理由ではないにせよ)良いタイミングだったのだろう。
同様に、コシナもまた、フォクトレンダーブランドのMFレンズをEFマウントに展開し始めている。
コンバーターを介さずにEFマウントに直で使えるパンケーキレンズは、待望していた人も多いのではないだろうか。使ってみたいが……金が続かないなぁ。しかしいずれ交換レンズは揃えたいところ。

確定情報じゃないが、これはすごいなあ。まさに業界地殻変動という感じだけど。ペンタックスはしばし受難の時というか…あまりころころ身売りされちゃかなわんよな。ビクターも最近鳴かず飛ばずって感じだし、正直微妙だねぇ…。

これ、ちょうどリアルタイムでBlog見てたけど、
制作サイドが確実にエンコード、サーバーアップ分のスケジュール計算してないよな。オンエアだったら、編集終わってテープに突っ込んで後は送出に、でどうにかするんだろうから、当日納期もありなんだろうけど(それでも非常に問題ありだが)、25分番組で、テープ取り込み→ネット配信用エンコードって、どう考えても半日仕事だろ。オンエアだったら担当Pはクビだよなぁ。ネット配信だからと油断してたんじゃ…。
まぁ、人のことをとやかく言えた立場じゃないが、納期は守ろうねというお話。

個人的には好きだな、こういうシャレにならないゲーム。パソコンを窓から放り投げる的なストレス解消ぐらいにしか役に立たないが。まあやらないけど。



2009年10月31日土曜日

2009年10月31日号



今月はまたひどく忙しく、休みが全然とれていない。ので、
耳聡い方々にはいささか旧聞に属するだろうが、今週の話題。

まず、
CanonからEOS 1D markⅠⅤが発表となった訳だが、来春(或いは秋)に発表といわれている1D系のフラッグシップEOS 1Ds markⅠⅤについての噂。


先頃、EOS 5D markⅠⅠも2010年上半期HD動画機能が24fpsに対応することが発表され、EOSムービーへの期待は高まる訳だが。しかしこれまで7Dを使ってみて、正直クオリティを出すのがかなり難しい(出せないというのではなく、ひたすらテクニックを要する)と感じている者としては、やはりボディはともかく、レンズの充実が欠かせないと考える。1D markⅠⅤから動画にAFが実装されたとは言え、メインはMFだろうと思う。

それだけが理由ではないが、Carl Zeiss Planar T* f1.4/50mm ZEを導入した。Made in Japan. 製造はコシナ。

7Dにつけると、Canon系APS-Cサイズセンサーでは焦点距離は約1.6倍換算なので、80mmのレンズとなる。ポートレートには最適な焦点距離だが…スナップに使うにはちょっと使いにくい焦点距離かも。フォーカスリング操作角は270度近く。時計で言うと0時から8時ぐらいまで回る。今回、このレンズを使って判明したのはフォーカスする際のライブビューの優位性だ。特に7Dはファインダーでフォーカスの山が掴みにくく、このレンズで絞り開けると被写界深度が極狭なため、ピンを外しやすい。その点、ライブビューは10×拡大出来るので、ビデオカメラを使っているユーザーとしてはこの方が断然良い。どうせ動画撮るときはファインダー使えないし。いずれにせよ、もう少し使い込まないと真価は見えてこないだろうなぁと思う。

さて、
Apple狂としては先週発表となった新iMacも見逃せない。買わないけど。デジカメ&Macユーザーは現状、これが最適解。ビデオユーザーはハイビジョン編集があるからMac Proは外せないけど。2.8GHz クアッドコア Intel Core i7 プロセッサに27インチ 2,560×1,440ピクセル LEDバックライト IPS液晶で、DisplayPort入力で外付ディスプレイとしても使えて、高速なSDカードスロット、高速で豊富なメモリとストレージ。言うことなしでしょ、もう。Magic Mouseは、使ってみないと、ね。明日あたり買ってくるか…

それから、
月頭で見逃していたeSATAカードチップSil3132のドライバがSnow Leopard(とりあえず)対応。ようやくセンチュリー裸族とセットだったカード、ポートを増やしタイが使える…。要検証だが、RAID組まなければ、いけそうかな。

そして秋葉館、なんと8TBが10万円を切っている!
恐らく今まで幾度も、後も何度もこの言葉を呟くことになるだろう。なんて時代だ……。