2011年11月5日土曜日

RED Scarlet-X


RED Digital CinemaからScarlet-Xが発表された。
CanonからCINEMA EOS SYSTEMが発表された直後で、前々から同日にぶつけてくるのは知っていたが、こうも真っ向から対抗してくるとは思わなかった。


電子接点付のEFマウントを基本構成に据え、強かにもAFまで対応するという剛毅な攻めの構え。
どうやらキヤノンのレンズ資産というアドバンテージを丸呑みにする腹のようだ。EFレンズユーザーにとっては朗報だろう。

スペックを見ると…
・スーパー35mmサイズ 1400万画素 MYSTERIUM-Xセンサー(恐らくEPICと同等)
・REDCODE RAW:5K FF(1-12 fps)/4K HD(1-30 fps)/3K HD(1-48 fps)/1080p HD(1-60 fps)
・EFマウント、AF対応。アルミ製(PLマウントオプションあり)
・1.8inch SSDモジュール(64, 128, 256GB)に記録
・HD-SDI出力:1080p 4:2:2。HDMI OUTモニター出力搭載
・音声は前面のMIC端子か?(AES-EBU Digitalオプションあり)

で、本体価格は$9,750(約76万円!)

[SCARLET-X brain、Al CANON MOUNT、DSMC SSD SIDE MODULE、DSMC SIDE HANDLE、RED PRO 5” TOUCH LCD、2x REDVOLTS、1x REDMAG 1.8" 64GB、RED STATION 1.8"、AC POWER ADAPTOR、DSMC TRAVEL CHARGER]のフルセットで$14,015(約110万円)

ちょっと安い…
EOS C300の発表を待って価格を決定したっぽいが…
4Kキャメラとしてはむろん世界最安である。もうEOS C300を買う理由が…

個人的にRED Scarletは3年前のNABからずっと待ち焦がれていたキャメラで、待てども待てども全然出ないので諦めてEOS MOVIEを手に入れたという経緯もあり、やっと漸く……感慨深いものがある。果たして告知した12月中にまともに出荷するのか、まるでアテにならないが…

CINEMA EOS SYSTEMは完全に出鼻をくじかれた感じだが、まぁキャメラとしての完成度はEOS C300の方が高いとは思う。EFレンズは来年さらに映像業界を席巻することになるかも。

「35mmサイズのCMOSセンサーによるハイビジョン動画記録」
REDが4Kで火をつけ、CanonがHDを価格破壊して、業界全体を巻き込んで発展した第一幕。
いま、Canonが重い腰を上げてデジタルシネマキャメラ分野に進出し、
それに対抗しうる価格帯にREDが4Kをぶち込んで勝負をかけてきた。
Canon vs RED、第二幕の始まりである。
そういう意味で、確かに11/3は歴史に残る日になるのかも知れない。

Canon EOS C300


CanonからCINEMA EOS SYSTEMが発表された。
「キヤノンの歴史」的には画期的なデジタルシネマキャメラ市場への参入。
その第一陣となるメインシステム EOS C300が来年1月に登場する。
(PLマウント版EOS C300 PLは来年3月発売予定)


予測はほぼ当たり、というかここ最近の噂は大方当たっていたようだ。

スペックを見ると…
・新開発のスーパー35mmサイズ 約829万画素 4K CMOSセンサー
・1920×1080 59.94i/29.97p/24p/23.98p 1280×720 59.94P
圧縮方式はMPEG-2 Long GOP でファイル形式はMXF、ビットレート50Mbps(CBR)
カラーサンプリング方式は4:2:2。
・スーパー35mm相当に対応する、EF及びPLマウントのマニュアルズームレンズ
・CFカード2スロット、連続・同時記録対応。メディア間コピー可能
・HD-SDI出力で非圧縮外部記録に対応。HDMI OUT端子搭載
・音声はステレオミニのMIC端子の他、ホットシューにXLR入力ユニットオプションあり
・TC端子・GENLOCK端子・REMOTE端子搭載。同期対応

他に特徴的な仕様としては
・新開発のCanon Logガンマ(カラーグレーディングへの対応)
・電動NDフィルター搭載(2Stops/4Stops/6Stopsの3濃度)
・無線LAN対応のWFT-E6Bで、ワイヤレスリモートコントロール可能
・約123万ドットの4.0 型液晶マルチ操作パネルをオプション装備
・防塵・防滴設計と冷却システム(←非常に重要)
といったところか。

5D MarkIIに始まる「EOS MOVIE」の画質面や使い勝手などに対して出された“プロからの要求”。それらを丁寧に吸い上げて穴を全部埋めた、実に手堅いスペックのキャメラという印象が強い。

処理エンジンがDIGIC DVIIIなのは、業務用のXFシリーズで使われている圧縮方式:MPEG-2 Long GOP  MXFに最適化されているからだろう。(EOS-1D Xで採用された圧縮方式H.264「ALL-I」はDIGIC 5に最適化されていると思われる)

新ラインとなるEFシネマレンズシステムは、前述のEF/PLマウント版のズームレンズが
CN-E14.5-60mm T2.6 L(390万円)、CN-E30-300mm T2.95-3.7 L (410万円)の2種4本。
単焦点レンズがCN-E 24mm T1.5 LCN-E 50mm T1.3 LCN-E 85mm T1.3 L(各59万円)の3本。
計7本のシステムが一気に発表されたが…他は既存のEFマウントレンズで十分カバーできると思うので、多分しばらくは増えないだろう。

で、肝心のEOS C300 本体価格はオープン。
予価$20,000(約150万円!)

ちょっと高い…
戦略的にSONY PMW-F3Panasonic AG-AF105に直接対抗する機種としては、おかしくはない値段だが…完全に業務機価格なので、今まで5D MarkIIを個人で買っていた層に訴えるものはない。
だからこそ5D MarkIIIが待望され…、今までの流れからすると次期5DはEOS-1D X系統のEOS MOVIEの進化が見込まれるわけだが、果たして1D X以上のスペックや新機能を搭載してくるだろうかということ、そして動画専用機C300のために新開発されたセンサーが、「必要十分」な4K画素で出てきたことを考えると、静止画向けの高画素機とCINEMA EOS SYSTEMは同じ機体に収まらない、現段階で両立しないものと考える。EOS MOVIEはCINEMA EOSのフィードバックを受ける形でさらに次世代へ進化していくのかも知れないが…いずれにせよ、実際の画を見ないことには始まらない。

CINEMA EOS SYSTEM スペシャルサイト

Vincent Laforet氏による短編PV「Mobius」

EOS C300は再来週のInterBEEに実機が出展するようなので見に行こうと思う。

さらに、Canonは4Kデジタル一眼レフカメラの開発を発表した。
(圧縮は24p Motion-JPEGとかなり古めかしいコーデックだが…)

CINEMA EOS SYSTEM、先々が楽しみである。