2012年4月17日火曜日

Blackmagic Cinema Camera



NAB2012でなんとBlackmagic Designからデジタルシネマキャメラが発表された。
その名もBlackmagic Cinema Camera 

全く、思わぬ伏兵だ…
Blackmagic Designはノンリニア編集キャプチャボード等の革命的な価格破壊で、ここ10年でズンズンのし上がってきた会社だが、まさかキャメラ界隈にまで殴り込みをかけてくるとは予想してなかった。しかもスペックがまた凄くツボを押さえてて…

・16.64 mm×14.04 mm(有効15.6 mm×8.8 mm)スーパー16サイズ センサー
・2.5K = 2432×1366(23.98p/24p/25p/29.97p/30p)収録
・CinemaDNG 12 bit RAW、Avid DNxHD、Apple ProRes記録対応
・Canon EF、ZEマウント互換
・最大13ストップのダイナミックレンジ(ProResでLOG記録対応)
・リムーバブル2.5inch 256GB SSDで記録(2.5K RAWは5MB/frame、約30分収録可)
・Thunderbolt端子でMacに直結!(キャプチャー、波形モニタ表示)
・5inch タッチスクリーン 800×480 液晶モニタ(シェード付)
・3G HD-SDI出力、オーディオ入力、LANCリモート、ヘッドフォン端子他
DaVinci Resolve 9.0、Blackmagic UltraScope 同梱!

これが、$2,995!(¥257,800)で7月発売予定!
もう狂喜乱舞。正しく全部入り!こういうのが欲しかったんだ!


そしてこのデザイン!どことなくレトロな、新しいポラロイドみたいな「古い未来家電」っぽさ…デジタルビデオカメラの既成概念に囚われない自由さ、必要しかない潔さ!使いやすいかどうかまた別として、今ここに未来がある!という佇まい。斬新!

惜しむらくは、スーパー16mmというセンサーサイズだが……スペック上の不満は本当それだけだ。たぶん来年にはスーパー35mmサイズのセンサーを搭載してくるだろう。そうなったらもはや最強のコストパフォーマンスである。飛ぶ鳥どころか昇る龍まで撃ち落しそうなBlackmagic Designの大攻勢、この流れはどこも止められそうにない。



まぁ、キャメラメーカーとしては全く未知数なので、実際の画を観ないと何も言えないところだが…

John Brawley氏によるテストショット
Blackmagic Cinema Camera - John Brawley


REDほどではないがBlackmagicも結構発売日を守らない会社なので…7月発売といってもあまり当てにせず気長に待つしかないが、しかし実に楽しみなキャメラが出てきたものだと思う。ちゃんと出して欲しい。

EOS C500




Canonから満を持して4K RAWを「出力」できるEOS C500が発表された。

昨年発表のC300に続き、RED対抗機種として放つ第二弾といったところか。
キヤノンの思惑としては、半年前のC300発表段階でここまでラインナップしてしまう腹づもりだったのではないだろうか。予価$30,000前後とRED EPICに競合する価格帯。

スペックを見ると…
・約885万画素(4096 x 2160)のスーパー35mmサイズ 4K CMOSセンサー
・4096×2160、59.94P/29.97P/24P/23.98P Canon Logガンマ
・4K RAW (10bit)、2K・HDでRGB 4:4:4 (10bit/12bit)及びYCC 4:2:2(10bit)

主な撮影モード


ちょっとわかりづらいが…
RAWの収録は完全に外部レコーダーに丸投げし、本体のCFはプロキシとしてMXFを記録するという形。先日発表されたSONY FS700と似ているが、とにかく3G HD-SDIで直接信号を流して受け方は後で…という考えなのだろう。

NAB 2012でこの10bit 4K RAWを受ける外部レコーダー、AJA Ki Pro Quadが発表された。
BMD HyperdeckやATOMOS Ninjaあたりも4K対応型を出してくるのではないだろうか。

これまでのCINEMA EOSの圧縮方式を見ると、C300でMPEG-2 Long GOP 50Mbps CBR、EOS-1D CでMotion JPEGを採用してきている。結局、キヤノンは4K RAWをカメラ単体で収録出来るようなシステムが開発出来なかったのだろう。

今回のC500も熱設計に相当苦慮していると見られ、むしろRED Scarlet-XやEPICが防水をガン無視して放熱フィン全開なのも、あのサイズでカメラ単体で収録するためにはそれだけ熱を逃がす必要があるのだなぁと今更ながら妙に納得した。


さらにEFシネマレンズシステムは新ラインとなる普及型ズームレンズ、CN-E15.5-47mm T2.8 L、CN-E30-105mm T2.8 Lを発表。

キャメラとしては大変魅力的ではあるのだが、流石に個人で導入できる価格ではないので、とりあえず今後の展開に期待しておこう…

EOS-1D C




CanonからEOS-1D Cが発表された。
昨年、EOS C300のお披露目と同時に4K EOSとして開発発表されていたもの。
2012年10月発売予定で予価$15,000前後。

ほぼEOS-1D Xに4K収録、
4096×2160/24p/8bit Motion JPEGで記録する機能を搭載したキャメラ。
カラーサンプリング方式はYCC 4:2:2、画角はAPS-Hサイズにクロップされる。

注目すべき基軸は
・1810万画素 35mmフルサイズCMOSセンサー
・Canon Logガンマ(&ピクチャープロファイル)
・1920×1080p記録時のスーパー35mmクロップ機能
・ヘッドフォン端子装備

その他…あまり書くことがない。
ほぼ開発発表通りの内容で驚きはなく、やっぱりコーデックの問題かぁ…といった感じ。Motion JPEGはファイルサイズは非常に大きくなるが、処理にかかる負荷は比較的軽い。しかし4Kのファイルとなると果たしてどれだけ容量を食うのかが全く分からない。仕様も未定だ。

価格帯はRED Scarlet-Xに直接張り合う。キャメラ本体で4K収録できる形に収めたのもそのためだろう。一眼レフデザインにこだわったのも、REDの掲げるコンセプト“Digital Still & Motion Camera”への対抗意識、カメラ屋としての意地みたいなものを感じる。

ほぼ個人が趣味で購入できるギリギリの価格と思うが、10,000ドル以下だったらなぁという気持ちはある。