2011年12月31日土曜日

年末年始



年も終わりが近づいてきた。

今年は本当にいろんなことがあった。
一言では語り尽くせない。
私事ではあるが、今年頭から無職になって、結果からいえば無職のまま年を終える。
その間、いくつか仕事もやっているが、映画美学校の脚本コースに通い始め、ここ半年ほどはシナリオに取り組む日々である。まぁ頻繁に怠けてるが、元がものぐさなので割り切って切り替える他ない。

さて、あまり時間がないが今年観た今年の映画及びアニメなどまとめてみようかと思う。


まずは、今年の新作映画ベスト3

1.『ヒア アフター
何だか毎年のベストに真っ先に挙がるクリント・イーストウッド監督作品。
それだけ毎年作り続けてることが驚異的なのだが…今年観た新作の中では抜群だった。どうしようもない来世ではなく、変えられるかもしれない現世に向き合う。希望が予感となって現れる時、前に踏み出して手を触れ合うことで人生は開けていく。心が解き放たれる爽快感…。満たされると言うより、全身に力が漲るような刺激をこの映画から受けた。
実は年頭に『インビクタス/負けざる者たち』を観て10年のベストに確実に入る出来だったので、『ヒアアフター』も期待して観に行き、本当にいい意味で裏切られた。
さも当たり前のように繰り出される演出、がことごとくキマる。職人芸の域だ。文句なし。今年のベスト1である。

2.『タンタンの冒険 / ユニコーン号の秘密
実写映画に数えていいのか分からないが…昨日観てきたばかりで記憶に新しい。もう久々に大笑いしたので。本当にスゴい活劇を観て笑いが止まらなくなるあの感覚である。
スティーヴン・スピルバーグ監督がデジタル3Dを存分に遊び尽くした縦横無尽のカメラワークと、原作リスペクトたっぷりのドタバタ。とてもよく出来たコメディ。IMAX 3D字幕版で観たが、セリフ無しでも平気だなぁと思ってしまった。それぐらいアクションが素晴らしい。

3.『ソーシャル・ネットワーク
キレのいい会話劇、錯綜する時間軸、『市民ケーン』を思わせる絶頂を極めた人間の孤独感。そこで敢えて主人公に寄らない描き方も◯。あの早口には『巨人と玩具』を思い出した。全篇REDで撮影されたことでも注目されたが、ボートレースのシーンなどやり過ぎ感があってちょっと…。もう少し面白くできる題材だと思うので3位。

そのほか、今年劇場で観た作品で特に印象に残ったのは
『暗殺の森』ベルナルド・ベルトルッチ監督
『ヴッパールの谷で』アモス・ギタイ監督
『フルスタリョフ、車を!』アレクセイ・ゲルマン監督
『ヤンヤン 夏の想い出』エドワード・ヤン監督
『ダスト ー塵ー 』ハルトムート・ビトムスキー監督
『白いリボン』ミヒャエル・ハネケ監督
『海盗り ー下北半島・浜関根ー 』土本典昭監督
『太陽を盗んだ男』長谷川和彦監督
『男の顔は履歴書』加藤泰監督
『不知火檢校』森一生監督
『裁かるゝジャンヌ』カール・Th.ドライヤー監督
『ニーチェの馬』タル・ベーラ監督
『幕末太陽傳』川島雄三監督
『東京暮色』小津安二郎監督
(以上観た順)

もっと、もっと見なければと思う。Blu-rayレコーダーを駆使して録りまくっているものの、順番に観る生活習慣ができていない…特に今年後半は全然映画館に行けなかったので反省。漠然と観てはいるものの自分の中で消化不良になっている作品も数多い。


次は、アニメ映画ベスト3

1.『映画 けいおん!
ホントによく出来た青春映画で、正直かなり驚いた。私は「けいおん!」シリーズをなめていたのだ、と思い知らされる。反省したい。
あのTVシリーズが映画として成立するのか、とかそんな不安は冒頭数分でかき消えてしまった。クオリティ過剰なキャラクターの細かい芝居、それが演出の必然として組み立てられる。脚本が素晴らしい。脱帽である。

2.『劇場版 マクロスF 恋離飛翼 ~サヨナラノツバサ~
これは音楽映画として素晴らしい。ぶっちゃけストーリーはかなり大味だが、それがこの映画のありように合っていて「いいんだ、細かいことは」と思える。戦闘描写も目が慣れてくると追えるようになるし。全てが綿密に計算された、三角関係と歌を味わう映画。菅野よう子ファンとしては永久保存版である。

3.『劇場版 鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星
アニメーションの真骨頂とでもいえばいいのかとにかくグリグリとうねる。二回もアニメシリーズをやった人気作だけに、ストーリー自体はその制約に縛られてどうも首を捻ってしまう展開だが、ここまで纏めて成立させているのも脚本の腕なのだろうな。

機動戦士ガンダムUC
今年はEpisode3と4。劇場公開されてるOVAなのでちょっと選外…だが、これを挙げない訳にはいかない磁力がこのガンダムにはある。あのギチギチに細かい線のメカがゴリゴリと動くのは画面の迫力が段違い。凄絶なクオリティのアニメだ。

そのほか旧作ではあるが、昨年逝去された今敏監督の作品を追悼上映で見直してみて、
改めてそのスケールを知ったというか…本当に惜しい人を失ったという思いを強くした。


今年のテレビアニメ・ベスト10

1.『輪るピングドラム
とりあえずもう一回シリーズ通して見返さないと測りかねる…が、ベスト1は間違いなし。
2011年を象徴するアニメという評価がピッタリ。
2.『放浪息子
演出が素晴らしい。脚本もよく練り込まれ、抑制が効いた作劇が原作とマッチしている。
3.『うさぎドロップ
記号的でない子供の描き方が非常に上手い。地味だが芝居が追求されていて好感が持てる。
4.『魔法少女まどか☆マギカ
脚本が丁寧。売れるのも納得。記号のコントロールに長け、巧妙な伏線が魅力のアニメ。
5.『Fate/Zero
作りが豪華。お金かかってるなぁという印象。設定が膨大な割に冗長な弛みがなく濃密。
6.『Dororonえん魔くん メ~ラめら
全然ついていけない感じがむしろ面白く、話はグダグダなのに見てて楽しいアニメだった。
7.『よんでますよ、アザゼルさん。
15分枠とギャグのテンポが合ってて良かった。職人的なコメディアニメだと思う。
8.『花咲くいろは
セリフがいつもちょっと多過ぎるが、時間をかけた作りこみが画面に現れている佳作。
9.『ちはやふる
まだ半分しか見てないが…詰め込んでる感があまりなく、構成のテンポが心地いい。
10.『日常
ちょっとギャグのテンポが合わないというか、どうも空回り感が強いので順位下げ。

STAR DRIVER 輝きのタクト』昨年のシリーズなので選外としたが、最終話付近の盛り上がりは異常だった。2nd OPは今年のベストOPだったと思う。
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』未見なのでなんとも言えないが、評判通りならランクインしそうな予感。年明けに一気見したい。

今年、アニメはBlu-ray BOXやPlayStation Store、バンダイチャンネルやテレビ再放送などまとめて一気見することが多かった。中でも『化物語』はBC→WOWOW→TokyoMXと三回も見てしまい、なんだかもう…
そんな訳で新年期待のアニメは『偽物語』で決まり。


皆様 よいお年をお迎え下さい。来年もよろしくお願い申し上げます。